青花草堂- 中国磁器の基礎知識 -
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歴史
■現在の中国の市場及びお店の紹介

中国の古骨市場は、その時々の景気にもよりますが日本人は想像も出来ない巨大なマーケット、市場参入者の多さ、北京故宮博物館、国家博物館、上海博物館を中心にした中国全土の品揃えを中心とした歴史系博物館と、その土地に由来する生産、発掘等の窯遺跡系の博物館(北京首都博物館、景徳鎮陶瓷民族博物館、河北博物館)、そして消費地所蔵系博物館(過去都があった成都、重慶、西安、杭州、開封など)、その博物館を取り巻くように、ショッピングモール系アンティーク専門テナントの集積地、それもS級、A級、B級、フェイク専門、そして新品系と千差万別、骨董好きには垂涎の的であり、どこから見ていいのか途方に暮れる状況であるかもしれません。またその商品のレベルはピンからキリで玉石混交の状態です。ピンはオークションへの出品作品ですが、基本年2回を中心に北京、香港、上海、東京、ニューヨークなどなどで開催され、オークション会社も群雄割拠の状況であります。競争過多状態かもしれません。日本でも2016年からNHKを中心としたテレビ番組で、美術品の番組、美の壺、NHK教育の日曜美術館、NHKプレミアムの特集番組、天目茶碗、汝窯天青の皿、そしてアンティーク会社の目利きプロフェショナルの特集番組が放映されているのはご承知の通りである。この手の番組では、日本の美術館の目玉商品は、中国の磁器、書画、青銅器が圧倒的な賛美を受け、称賛と高い価格にて評価されている。ただその内容が、日本のコレクションの優位性、日本人の目利き力を強調しすぎる傾向があり間違った印象を与えているのではないかと懸念します。日本市場にある中国の商品は、中国の圧倒的市場の商品のほんの一部であり、その中国人のコレクションに対する価値観や日本の陶器との比較論、その価値観の差異の由来まで深堀できていないのが、愛好者、視聴者として不満の残るところであります。またこのような紹介番組を見て感じるのは、こんな美しいものを、もっと見たい、そしてあわよくば手に入れたいとする人々、視聴者の要請に応えていないのでないか?それなら、そのような欲求に応えるべく、私自身がこのような基礎知識と実物を見ることできる場所、そして購入できるところを紹介してみよう思いに至った契機のひとつであります。

偽物を掴ませられるのがいやだ、リスクが大ききから怖い。これは食べず嫌いかもしれません。テレビで美術系の番組が増え、鑑定もの番組も人気がある。美術品の番組人気を博しているのも、美しさに対する普遍的な憧れ、そして所有してみたいという願望があります。鑑定番組の人気が高いのは、家宝を持つことへの願望と所有していることの誇りの発揚、簡単に表現すると我が家の自慢の一品です。同時に鑑定でダメ出しされたことを確認することでの持たない人の安心感の獲得。更に言えば、えーと思うような鑑定も人気の一因かもしれません。鑑定者の鑑定が絶対ではないということが視聴者の潜在意識の中にあり、見ている側の美意識が問われています。実際に磁器の鑑定が機器で出来るとしているお店に検査内容を確認しましたら、時代を考証するにはその磁器の一部を壊して検査機器で調べる必要があると言われました。これじゃ鑑定の解決になりませんね。

費用も一件あたり15万円と言われました。したがって、鑑定人の仕事は無くなりません。でも中国には鑑定人もピンからキリでたくさんの市場参入者がしのぎを削っています。やはりこの商売も信用と実績の積み重ねです。あの人の鑑定なら、あのお店の商品なら大丈夫だ、あのオークション会社の出品なら本物だねとなります。これはどんな商売でも同じです。

多くの人たちが中国アンティークは殆ど偽物ですよね。とギブアップするのは、イソップ童話に登場する高い木の枝になっているブドウを取ることを出来ないキツネが、酸っぱいブドウだろうから食べない、食べてはいけないのだと言い訳するのと同じかもしれません。エデンの園の果実を食べてみないと人類の物語は始まりません。美味しいかどうか食べてみないと永遠にわからないのですから。

目を凝らして磁器の青のムラをみつけ、ルーペで空気の泡を見つけたら、香を嗅いでカビくささを感じたら、泥を見つけてはじいてもなかなか取れないなら、器を耳に当てて聞いてみましょう。太古の楽器の音が聞こえるかもしれません。そして名前を呼ばれても返事をしてはいけません。呼ばれた時空から帰れなくなるかもしれません。